こんなこと初めてです
普段、(冬の夜間を除いて)我が家のビカクシダは、ベランダの壁に吊るされています。風が抜ける、明るい南向きの壁。この環境に適応して、順調に育ってきました。
けれども先日、このビカクシダを見た私は一瞬、凍りつきました。何なんだ!?これは!! ビカクシダの胞子葉やその付け根あたりに、小さな黒い塊がくっついているのです。それも、たくさん。(ぞぞぞ…。)
黒い塊は、マルカメムシでした。マルカメムシって、5mmくらいの濃茶色した、まん丸い虫です。ヘタに触ると臭いニオイを出すので嫌われる、あの虫です。不快害虫って言われていますね。
何しろ、こんなこと初めてです。集まっているマルカメムシの数を数え忘れたところからして、私がこの事態に少なからず動揺していたことがうかがえます。10匹…いや、15匹はくだらなかったです。
私は、「落ち着いてぇ…」と自分に言い聞かせ、ピンセットでマルカメムシをはじきました。手で触ると、あの何ともいえない不快なニオイがつくのが分かっていましたからね。
すると、彼らはブ~ンと飛んで、去っていきました。それを「あ、飛ぶのね」と思って見送った私です。
私は虫を毛嫌いするタイプではないけれど、虫が沢山集まっている姿、それも育てている植物にたかっている様子には、さすがにショックを受けました。
この状況は、何を意味するんだろう
植物と虫とがそれぞれの利益になるよう共生して、進化しているパターンがあります。
例えば、アリノトリデという着生植物は、樹上に生えているので土から栄養を取れません。そのため、自分の体の中にアリを住まわせて、アリのフンやアリが食べた餌の残りカスを栄養として取り入れています。一方のアリは、立派な巣を提供してもらうというメリットがあります。
これって、植物はしたたかに戦略を練っています。
ならば、ビカクシダとマルカメムシ。この組み合わせは何を意味するんでしょう。あるいは、ビカクシダが戦略をもってして、マルカメムシを呼びよせたのか?なんて、考えてしまいましたよ。
まがりなりにもこれまで、我が家のビカクシダと私は仲良くやってきたと思っていました。けれども、ビカクシダがマルカメムシとタックルを組んで私への反逆を企てたとか、そんな戦略だったらどうしよう、なんて思ったわけです。(でも、メリットは見当たりませんね)
マルカメムシの行動
ところで、マルカメムシは、10月から11月頃は、越冬する場所を探すために移動するそうです。
なのでこの時期、マルカメムシがブ~ンと飛んできて、ちょっと休憩した場所が干した洗濯物の間だったりすると、人に見つかって嫌われるという流れです。
我が家のビカクシダにくっついていたマルカメムシ。彼らは、ビカクシダに呼ばれたのでなければ、ブ~んと飛んできてちょっと休憩していた、ということでしょうか?
あるいは、私がピンセットではじかなければ、マルカメムシの大群は越冬のために、我が家のビカクシダに定住したでしょうか。
繰り返しますが、私は虫を毛嫌いするタイプではないけれど、育てている植物を虫の住家として提供するほどには懐が広くはありません。
かといって、つぶしてしまう度胸も持ち合わせていません。なので、別の場所に行ってくれ、と追い払うくらいがせいぜいなのでした。
幸いその後、マルカメムシはやってきていません。今頃は、ビカクシダの葉影よりも快適な住み家を見つけている、と思いたいところです。マルカメムシに幸あれ…。
そして私とビカクシダは、変わらず良好な関係です。(と思っています。)
一体全体、我が家に元気な植物はいるのだろうか【1】
形状記憶しながら成長するビカクシダの貯水葉