毒を持つ植物たち
ある日、私は調べものをしていました。ページをめくっていたのは、 気をつけよう!毒草100種 [ 中井将善 ]という本です。探していたのは、スイセンの毒の有無です。
(写真:楽天ブックス 商品ページより)
そして、見つけました。
スイセンが有毒植物ということは多くの方が知っています。(中略)全草に毒成分を有しますが、とくに地下の球根に多く、リコリン(Lycorine)を多く含みます。
気をつけよう!毒草100種 [ 中井将善 ]より
中毒は、胃腸炎を起こしたり、頭痛、下痢、吐き気が起きます
気をつけよう!毒草100種 [ 中井将善 ]より
水仙には、確かに毒性がありました。それで私は、大いに納得したわけです。といいますのも…。
土を荒らしたのは誰だ!?
ある朝のこと。会社の空き地が荒れていました。昨日までは何でもなかったのに…。それにしても様子が少し変です。
誰かがいたずらで土を起こしたにしては、規則性なく土が掘り返されています。それも何ケ所も。土留め用に置いたブロックまでも、なぎ倒されています。
かといって、スコップなどの道具を使った感じでもありません。なんていうか、とても強い力で勢いよく荒らしている感じ。
「ははぁ、もしかしてこれ、イノシシが山から下りてきたんじゃないだろうか。」と思いました。会社のすぐ近くには山がありますから。
鼻で土を掘り返して、ミミズとかを食べていたのでしょうか。確かに、会社の空き地はよく肥えていて、主のように大きなミミズがたんさん住んでいるのです。
そしてふと気づきました。スイセンの花は被害にあっていない、ということに。スイセンの周りは見事に避けているようです。
「ミミズを探すより、水仙の球根を食べたほうがボリュームも効率もよいだろうに、何でだ?」と思いました。
それで、「もしや、水仙には毒があるんじゃないだろうか?」と目星を付けて、本で調べようとしたわけなのです。
身近な花にも事故の危険
スイセンはとても身近な花です。けれどもスイセンはヒガンバナ科です。ヒガンバナの仲間のほとんどは、リコリン(Lycorine)というアルカロイドを含んでいます。これを摂取して起こす中毒は、胃腸炎、頭痛、下痢、吐き気等です。
とはいえ、スイセンを間違えて食べてしまうなどの事故はまずないそうです。ただし、近くに植えていたニラの葉と一緒にスイセンの葉まで摘んで食してしまうことは起こります。また、小さな球根がノビルにそっくりで、間違えることがあるとのこと。
スイセンの防衛手段、イノシシの本能
そもそも、スイセンは自分を外敵から守り、生き残るために毒を持つよう進化したのでしょう。何しろ、地面に根を張っているため、動いて逃げることができませんから。
対して、イノシシもスゴイですね。ちゃんと、植物が持つ毒の有無を分かっているんですね。こちらも自己防衛ですね。
こうして片寄りなく、お互いが生き残っていく道をつけているのでしょう。私も、頭のすみに覚えておきたいと思います。