このフォルム、外観からワクワクが止まりません
青空バックに、まるでイラストのように平面的なフォルムの建築物。エッジに沿ってモサモサと植物が生えています。並んだ小さな窓。右の方には煙突らしきものもあります。
この強烈に不思議で愛らしい建物は、2016年6月にオープンしたモザイクタイルミュージアムです。場所は、岐阜県多治見市笠原町にあります。ここに行ってきました。
モザイクタイルとは
モザイクタイルとは、表面積が50cm²以下の小ぶりなタイルのことを指します。多様な形を組み合わせてパターンを作りだすことができる建築物の装飾として活用されています。(モザイクタイルミュージアムパンフレットより)
強烈なインパクト!! 建築家 藤森照信氏の設計・デザインが不思議カワイイ
このフォルムは、タイルの原料を採掘する粘土山をイメージしているそうです。
また、入口にたどり着くまですり鉢状に下っていきます。これも、粘土を採掘していった景色なのかな。そして垂直に切り立った壁は、採掘した山の断面ということですね。(だから、エッジに植物が生えているのね!!?)
見れば見るほどユニークで、素敵なデザインです。この不思議カワイイモザイクタイルミュージアムは、建築家 藤森照信氏の設計・デザインだそうです。
まずは外観を堪能
黄色い路をたどって建物の前まで行き着くと、そそり立つ垂直の壁。壁には、規則的にタイル片が埋め込まれています。これが、大きな壁にリズムを作っています。
粘土山の土の中に、タイルの宝もの(原石・原料)が埋まっているイメージかな。
そして、小さな木製ドアが。
「えッ、ここから入っていいの?」戸惑いながらも、ワクワクが加速します。
多分、初めてここを訪れた誰もが、戸惑いがちにこのドアの前に立つのではないかな。そこで、ス~っと自動ドアが開くので、冒険スタート!!って感じです。
そして、入場
入場料は、大人300円。4階まで一気に階段を上り、上の階から見ていくのが順路のようです。(エレベータもあります)
4階へ続く階段は照明が控えられていて、まるで焼き物を焼く登り窯のイメージです。「あの明るい先には、何があるのかな」と思うと、疲れ知らずで吸い込まれるように登ってしまいます。これも建築家 藤森氏の計算なのでしょうか。
4階は、モザイクタイルの展示室
階段を上りきると、4階は真っ白な明るいスペースでした。(すごい解放感!!)
ここでは、収集された様々なタイル製品や絵タイルが展示されています。その美しさに圧倒されます。
展示室の壁は、当然(!?)モザイクタイル貼りでした。(↓)白い空間が、タイル製品や絵タイルの色彩と魅力を際立たせてくれます。
こちらは、昭和30年代頃の流し台や、理髪店の洗髪台のコレクション。年配の方が「実家は、今もこんな感じよ」と嬉しそうにおっしゃっていました。
絵タイルの芸術も。
吹き抜け部にあるモザイクタイルのオブジェ。
雨の日は、雫がオブジェを伝って落ちるのかな???
3階は、タイルの製造工程と歴史がわかる展示室
下りの順路は、エレベータを使います。3階では、タイルの歴史パネルやサンプルが見れます。また、タイルの製造工程の説明があり、興味深くて勉強になりました。
配色、サイズバランス、どのタイルもモダンで恰好いいです。こんな模様をだす釉薬の研究は大変だったろうな、と想像したり。(↓)
3階も、見れば見るほど面白いです。私は蛙目粘土(がいろめねんど)や、木節(きぶし)等の原料にも興味深々でした。
蛙目粘土(がいろめねんど)って、こういう感じです(↓)触らせてもらえるのが嬉しい…。
2階は、最新タイル情報がわかるスペース。タイルの相談も可
2階へ移動。ここまで見てくると、モザイクタイルの魅力にハートを射抜かれているのは、私ばかりではないはず。自分の家にモザイクタイルを取り入れたくなる気持ちが湧きだすものです。そんなとき、2階フロアではタイルの専門家にいろいろ相談にのってもらえます。
私が行ったときは、年配の男性の方が説明をしてくれていました。感じからして、タイル製造やタイル産業に長年、携わってこられた方ではないかなぁ(?)聞けば、丁寧に教えてくれる感じでした。
ここに展示されているサンプルのタイルも素敵すぎです。ちなみにこのタイル、三角形です!!
葉っぱ型のタイルも見つけました。
タイルの違いで表情がガラッと変わり、奥が深いです。
1階は、ミュージアムショップと体験工房
ミュージアムショップでは、モザイクタイルの詰め放題、タイルを使ったアクセサリーや、タイル製アルファベットや額なども販売していました。
奥の体験工房では、モザイクタイルを使ったワークショップなどができるようです。
まとめ
このミュージアムは、速い人は1時間くらいで見て周るでしょうか。私は2時間くらいかけて見ていましたが、その間ずっとワクワクしていました。
何がいいかと言うと、コンパクトに収まっているので疲れません。かといって、見応えがあるので、満足感があります。そして、居心地がよいのです。
年配の方には懐かしく、若者には新しくお洒落に見えて、子どもたちもワクワク楽しめるモザイクタイルミュージアム。幅広い年齢層の人が来ていました。
また、建築デザインに興味のある人には、たまらないと思います。外観のコンセプトはもとより、人の動線や心理的な効果、光や色の使い方が考えられ、計算された設計になっていると感じました。
というわけで、タイルの魅力と歴史、そしてこのミュージアムを設計した建物家のセンスに触れて、思い切り楽しんできました。