季節は秋
秋なので、野趣に富んだ草花を籠に生けて…って、わけではありませんで。 (^m^*
よぉく見ると、ススキの影に南蛮煙管(ナンバンギセル)が生えている鉢です。(ナンバンギセルの花は、もう終わりですが。)
「煙管(キセル)」そっくりの姿。
ある日、お店の山野草コーナーで南蛮煙管(ナンバンギセル)の鉢を見つけて、「あッ…」と立ち止まり、しばし、思い出に浸ってしまいました。
私たち生徒は、お茶のM先生のご主人を「男先生」と、呼んでいました。
男先生は、禅語や変体仮名に造詣が深く、お侍さんの時代に書かれた達筆な掛け軸をスラスラと読み、解説を付けて、しばしば教えてくださいました。
そして秋になって、ナンバンギセルの花が咲くと、「珍しい、面白いものだから」と言って、ご自身が育てているナンバンギセルの花を切って、お稽古を終えた私たちに持たせてくれたものです。
ナンバンギセルは、
- 煙管(キセル=パイプ)にそっくりな形なので、その名前が付いたこと
- ススキに寄生する植物なので、育てる時はススキと一緒にすること
を教えてもらいました。
帰宅した私は、いただいたナンバンギセルを増やせないかと、ススキを買いに園芸店に走ったものです。 (でも残念、育ちませんでした。)
その男先生も数年前に他界されました。今はもう、掛け軸の解説を聞くことができません。そんな中、ナンバンギセルを見てふと、男先生のことを思い出したわけです。
そうしたら、なんだか心が温かくなって、手に持ったこの鉢を元の棚に戻すに忍びなくて、
購入するに至ったのです。
時にはこんな、植物の買い方もしてしまいます。
あっ、天国の男先生、ちょっとお尋ねします。