貫禄の駄温鉢。ここまで使えば使いきった感

この貫禄、いったいどれくらい使っていることか

見てくださいな。

これが私の好きな植木鉢です。鉢上の淵に釉がかかっていた形跡が確認できるので、駄温鉢ではないかと思われます。

駄鉢

駄温鉢は1000度くらいで焼いているため、700度焼成の素焼き鉢と比較して、焼きしまっていて割れづらい鉢です。日本津々浦々、どこの園芸店でも探すことができる一般的な鉢かと思います。

その駄温鉢。いったい、いつから我が家にあるのか記憶がありません。とにかく、相当、年季が入っています。

淵に塗られた釉はとっくにはがれ落ち、水のカルシウムと思しき白いものが張り付き、劣化した素地が崩壊し始めています。

駄鉢

でも、そんなエイジングが好きなわけです。植物には、むしろ劣化した鉢が馴染むと思っている私です。

「綺麗だなぁ…」なんて、眺めていると、ヒビを発見しました。よく見ると、何本か入っています。となるともしや?と思い、鉢の淵を持って、力を少し加えてみると…

駄鉢

モサッと、簡単に割れました。

駄鉢

実はこの時、植木鉢の整理をしていた私です。そしてズラリ、目の前に並んだ使っていない鉢の多さにため息をつき、かと言ってそれらを捨てることが出来ず、自失茫然としていたわけです。

相当古い。でもこの劣化具合がまた美しい。だから、捨てるには忍びない…。

そんな押し問答をしていたさなか、ヒビ割れを見つけ、チョイと力を入れてみたら割れた。その結末に実は内心、安堵したと言っていいかもしれません。何故って、ここまで使えばもう、十分使い切ったということ。この鉢は、清く「さようなら」ができます。

そんなわけで、捨てれない病の私の気持ちがスッキリ軽くなったのでした。ええ、気持ちよく「さよなら」した、というわけです。
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