カヤツリグサってご存知ですか?
一見すると、火花を散らす線香花火を思わせる姿。子どもの頃は普通に、あちこちに生えていました。それは、ちょっと変わった姿だけれど、私にとってはただの雑草でした。それが、カヤツリグサ。
大人になって、街なかで暮らすようになると、そこにはカヤツリグサが生えていなかったのか、それとも暮らしむきが変わって足元で生きる植物の存在を気にかけなかったのか…。ともかく、カヤツリグサを忘れていました。
そんな折、お茶を習うようになり、茶花のお稽古をした際に、茶花の中にこのカヤツリグサがあったのです。その時は、新鮮に驚きました。
あの雑草が、茶花として昇格している!! と。
そもそも、この感覚は変ではあります。果たして、茶花で使う花は格が高いのか? でもって、 カヤツリグサは、格が低いのか? だいたいにして、植物には優劣があるのか? それよりも、いくらかの植物を「雑草」と、ひとくくりに定義してしまうのは変じゃないか? また、なぜに私はカヤツリグサを雑草としてしまったのか? 等々…。
そんなところに、自分自身や暮らしてきた環境が影響を及ぼす固定観念とか、色メガネとかいうものを自覚したわけです。こうした勝手な思い込みを取り外して見てみると、カヤツリグサはなかなかに美しい姿をしているのです。
さて、私は現在、緑多い片田舎と言いますか、ささやかな町に住んでいます。そして、この地に越してきて再び、カヤツリグサに驚かされたのです。それが、こちら。
恐るべし、片田舎の巨大カヤツリグサ…、と。
私が記憶しているカヤツリグサは、サイズ15cmほどです。なのに、この片田舎で見るものは40cmとか50cmサイズ。河原に行けば、更に背の高いものを見ることが出来ます。田舎は、かくも植物を巨大化させるものか!? それとも、これが本来の姿なのか!?と、私を混乱させたわけです。
って、どうやらこの巨大なものは、メリケンガヤツリのようです。同じく、カヤツリグサ科の植物ですが原産は、南アメリカから北アメリカ西部。第二次世界大戦後、沖縄に入り、そこから広がっていったとのことです。
何しろ、ダイナミックなサイズなので、そこにはしとやかさとか、けな気なイメージはありません。しかしながら、自然の姿はやっぱり美しく、興味深々です。
人やモノの流通が多く、移動も速いので、こんな片田舎にまでメリケンガヤツリが入り込んでいるんだろうな、そんなことを思うのでした。
何にしましても、カヤツリグサ系には驚かされます。