椿の花、その注目度の低さについて
ウォーキングで訪れた公園で椿の花が咲いていました。冬~春にかけて、わびしい風景の中で咲く、赤やピンク、あるいは白い椿の花は目立ちますね。
でも…、お茶をやっている人ならともかく、あるいは植物好きの外国人ならいざ知らず、椿を気に掛ける人はそんなに多くないように感じます。よくよく見れば、あるいは種類によってはバラの花のように豪華で美しい花をつけているというのに…。
更には、椿愛好家の方が育てている多彩な椿の花を見ると、その美しさに衝撃的に驚くというのに…
なにしろ、椿の花は「花が首から落ちるから、縁起が悪い」と言われます。それって、人が後からくっつけた イメージなのですが、随分そのイメージに足をぴっぱられて、不利な立ち位置に立たされていると思います。
何故、椿は花ごとポトリと落ちるのか
そもそも、植物たちは子孫繁栄の為に花を咲かせます。花を咲かせて花粉を運んでもらうのが至上命題です。そのために普通は、昆虫の活動が活発な春~夏に花を咲かせるわけですが、椿は冬の寒い時期に花を付ける決断をしたわけです。
なぜかと言いますと、昆虫ではなくて鳥たちに花粉を運んでもらうためです。昆虫よりも鳥のほうが、より遠くまで花粉を運んでくれますから。で、鳥の飛来を受け入れるために、花の作りを強くしたというわけです。
それで、花びらが散るのではなく、花が落ちるわけです。
また、椿の花は香りません。何故って、昆虫をおびき寄せるためには香りが必要ですが、鳥は視覚で花に飛んでくるからです。だからこそ、わびしい冬の景色の中、たくさんの花を咲かせるんですね。
そんな戦略を知ると、椿の花をまた違った目で見ることができます。ええ、ええ、椿って、美しいです。