子供の頃
子供の頃から、植物や自然が好きでした。「庭仕事って、気持ちが落ち着くわぁ…」と思いながら、熱心に草取りをしていたような子供です。
また、親には内緒で、飼い犬と一緒に裏山に入ることも好きでした。嬉々として山を散策する愛犬の姿。それを目で追いながら私は、「山の自然はとてつもなく美しいな」と思いました。
その半面、何か起きたら、あっという間に飲み込まれるだろう怖さも感じていました。それは、人と出会うことよりも、山の住人と遭遇する可能性や、谷や崖という山の牙に対する畏怖です。それでも、犬と一緒に山に入っていました。小学生の頃です。
20代は大きな転機でした
20代初めに、ワーキングホリデーを使い西オーストラリアに渡りました。そこで私は、コアラやエミューに会うより先に、バックパッカーの師匠と遭遇したのです。この出会いが、30代初めまで続くバックパッカーの原点です。
バックパッカー時代は、タイのバンコクを拠点に東南アジア、インド、ネパール等を旅し、フランスにたどりつきました。
旅する中で、私は各国の大自然に魅せられました。完璧なまでに透明な海、8,000m級の山々、インダス河と砂漠、ガンジス河の源、地中海の青…。そして沢山の人との出会い、見た景色、感情…。そうした経験は今、私の身体に浸み込んで、大切な財産になっています。
ところで、定住の地を持たない旅人の寂しさをひとつ挙げるとすれば、(私にとっては)好きな植物を育てることができないことでした。どんな国でも植物を育て、愛でている人がいます。植物好きとして、そんな人の姿や、個人宅の庭、レストランの植栽を見る度に、羨ましくも切なくなったものです。
そして今
現在は、東海地方で暮らしています。山や畑が程よく身近な町です。私が住む地域は、春になるとウグイスが鳴き始め、夏にはツバメが飛び、カブトムシが玄関先まで飛んできます。田んぼや川岸では、シラサギも普通に飛んでいます。夏のセミの声が終わると、秋の虫が鳴いて季節を知らせます。自然が身近なこの地で好きな植物の世話をして、季節の味覚を堪能する。そんな暮らしをしています。